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京都CRAFTSMAN実習

INTERVIEW

教えてくれるのはどんな人?

森本 安之助さん(株式会社森本錺金具製作所)

偉大な先人たちが現代に守り残した錺金具を、道具を、技術を、思いを、心を、未来へと紡ぐ、それが錺職人の仕事です。

Q:錺(かざり)職人とはどんなお仕事ですか?

まず、お客さまのほとんどが神社・仏閣となります。

神仏を相手にするところが一般的なモノづくりとは大きく異なる点です。そのため、信仰の延長のような仕事と言ったら少し語弊があるかもしれませんが、基本的な仕事への向き合い方は「奉仕の心」が大切です。手掛けたモノを納めてその交換対価としてお金を受け取るのではなく、自身がその錺(かざり)金具に向き合った時の奉仕の心、一生懸命取り組んだ心、それらの”心の持ちよう”に対してその対価を頂戴するという考えです。なので、毎日が納品なのです。

金具が完成した時に納品するという考えではなく”心の持ちよう”に対して対価を頂くので、日々製作に取り組んでいる”心”そのものに価値があるのです。毎日一生懸命に取り組み、毎日その心を金具に込めていき、集大成としてそれらを目に見える「形」に表し納品するのです。毎日、もっと言えば瞬間瞬間に心をお納めしているのです。

製作しているものはいわゆる装飾金具です。神輿などの祭礼具や神社・仏閣に取り付ける建築金具などが主になります。

そして、製作だけではなく保存修理の仕事もたくさんあります。

保存修理というのは、過去に作られた金具を創建当初の姿に忠実に復元することです。そのため、当時の道具を使い、当時の技術で修理を施すのが原則です。時には、錺金具の形状や細部意匠など元の状態が分からないものもあります。その場合は、大学の先生などの専門家による会議が行われ、時代考証などを行って当時の金具の姿を推測してできる限り忠実に再現します。そのようにして脈々と技術も錺金具も受け継がれていくのです。

偉大な先人たちが現代に守り残した錺金具を、道具を、技術を、思いを、心を、未来へと紡ぐ、それが錺職人の仕事です。

Q:この仕事の魅力は?

何と言っても「自分が手掛けた物をみんなに拝んでもらえること。」です。他には中々このような仕事はないでしょう。ウチの熟練職人も「こんなありがたい仕事は他にはない!」と常々言っています。ですが、下手な仕事をしたら世間に恥を晒すことになるので、やはり一生懸命丁寧により良い仕事をすることが何より肝心です。

また、経験を重ねるにつれてどんどん腕が上がり、難しい仕事も面白いようにこなせるようになって来ます。もちろん技術を習得するには長い時間がかかりますが、真面目に取り組めば日々自身の技術向上を実感することができると思います。

そして面白いことに、錺金具には手掛けた人が投影されます。本質と言ったらいいのでしょうか。取り繕ったりしても誤魔化しの効かないその人そのものが反映されます。熟練した腕の良い職人が手掛けた金具とそうでない金具は、一目ですぐに見分けがつきます。金具に向き合いながらも自分とも向き合い、心を込めて錺金具に打ち込んでいく。自分と向き合う必要があることもこの仕事の魅力の一つです。

Q:どんな方が錺職人に向いていますか?

「カメな人」ですね(笑)。

神仏が相手のお仕事なので本当に誤魔化しが効きません。要領良く仕事をこなす器用な人はどこかで手抜きをしてしまいます。仕事と向き合う心をお納めしているのでいくら手先が器用でもこの仕事では良い職人とは言えません。

そして、大抵の器用な人はウサギとカメの競争のウサギのようにどこかで手抜きをしている間にノロノロなカメに追い抜かれます。カメがそのようにゆっくりではあれども得た技能はしっかりと腕に染み込んでいきます。また、真面目なカメタイプの人は一生懸命金具と自分に向き合うので、最も大切な”心の持ちよう”をしっかりと持っている人が多い印象です。もちろん器用な人が全員そうだと言う訳ではありません。

Q:最後に、京都クラフトマン実習への参加を悩まれている方へメッセージをお願いします。

ぜひ実習に参加して私たち職人や昔から受け継がれてきた技術や金具に触れていただきたいです。

日本の伝統文化の偉大さや先人の偉大さを感じてもらえると思います。そして、思い出して欲しいのです。

皆さんの心の中にも脈々と息づいている日本人の心を感じて欲しいのです。昨今は、使い捨ての文化が広まってきています。もちろん様々な観点から合理性はあるのでしょうが、昔の技術や昔の道具を使って当時の状態に戻す保存修理をしている時には「先人たちが苦労して守り残してきたものを、私たちも後世に守り残さなければならない」という思いが強く湧き上がってくるのです。決して簡単な仕事とは言えませんが、まずは実習に参加してあなたの目で見てあなたの心で私たちの仕事を感じて欲しいと思っています。

(取材スタッフ感想)

門を潜れば奥から錺職人が金具を打つ音がカン♪カン♪カン♪と心地よく響いてきて、部屋に入れば煌びやかな錺金具が飾られている。そんな職場です。

取材を受けていただいた代表の森本安之助さんもとても柔和で快く実習と取材を受け入れていただきました。ぜひ、先人たちから受け継がれてきた仕事・職人に会いに来てください。みなさんのご参加をお待ちしています。

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